荒焼(アラヤチ)
  
壺屋19C 図録「沖縄のやきもの」より
酒甕、水甕、味噌甕など大型の貯蔵容器から、すり鉢や小型の升瓶のようなものまで、焼き締めや泥漿・マンガンを掛けた陶器を総称して「荒焼(アラヤチ)」と呼んでいます。

荒焼きの陶土は、沖縄本島中南部から採取される、ジャーガルと呼ばれる黒土と、琉球石灰岩が風化した島尻マージと呼ばれる赤土です。製品によっても異なりますがこの両者を混合したものが用いられています。焼成温度は、約1120℃程度とされています。

また、無釉陶器には荒焼の他にも低火度焼成(約600℃)の土器質のアカムヌーや、瓦質土器があります。アカムヌーは土鍋や火鉢など直接火にかけられる ものなどが主に作られております。土鍋やかわらけなどとも通じるものです。瓦質土器は、大和系の中世瓦器にも通じるもので、16世紀から17世紀にかけて 生産されました。献上用の装飾豊かな植木鉢など、ステイタスシンボルとしての役割を果たす特種なものも手がけられ、17世紀以降も焼締植木鉢として薩摩の 注文に応える製品が生産されました。
荒焼という呼称は、壺屋製陶器に限って用いられることもあります。しかしここでは壺屋製に限らず琉球陶器全般にわたり、焼締め陶器や、泥漿・マンガン釉陶器を総称して荒焼と呼ぶこととします。

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