ピーター・ブリューゲル『農民の婚宴』『農民の踊り』部分

ヌマタ美術研究所では、代表の片桐を中心に、16世紀の世界的な画家ピーター・ブリューゲルの絵画とライン川流域古窯に関連した研究を行っております。ブリューゲルはその作品中に、多数の陶器を描いています。ブリューゲルの手によって描かれた陶器を実際の出土品と比較し、時代や産地などを分類し、さらに描かれた場面設定や、アトリビュート、作品テーマ、そしてブリューゲルが生きた当時の宗教、思想など総合的に検証します。幸いなことに陶器という素材は耐久性が高く堅牢で、ほぼ生産当時のままの姿で出土します。金属器や衣類などと比較しても、経年変化は極めて微小です。

ライン炻器の中でも、特に鬚男の浮彫 装飾の付いたものは『鬚徳利」』と呼ばれ日本でもおなじみのものとなっています。鬚徳利は、どのような理由で鬚男のレリーフが刻まれたのか、以前とし て諸説様々です。鬚徳利の日本への招来は、江戸初期であることが発掘資料より明らかになっています。ここに挙げるライン古窯コレクションを通じて、謎多きブリューゲル絵画を読み解く上での一助となることを期待すると同時に、少しでもライン地方の古陶を身近に感じて頂けらたと思います。詳しくは、古窯紀行と研究の一端を紹介した『ライン古窯探訪とブリューゲル画論』をご覧ください。

 

⇒『ライン古窯探訪とブリューゲル画論』